安南のへそ

発展著しいベトナム中部の町、ダナン暮らしを経てすっかりベトナムマニアになってしまいました。ディープに書き綴ってまいります。

カンボジアの伝統村

前回に引き続き、読書記をば。

実を言うと今回ご紹介するこちらの本を先に読み終えていたのだけど、なぜかアフリカのマサイ族のお嫁さんの話を先に投稿してしまった。それだけあちらの本には衝撃を与えられたということ。でもそれだからと言って、こちらの本に衝撃を受けなかったというわけではなく、むしろこちらはとっても読みごたえがあって、一つ一つが深く、時間をかけて読み進めた感じ。

 

カンボジアに村をつくった日本人: 世界から注目される自然環境再生プロジェクト

カンボジアに村をつくった日本人: 世界から注目される自然環境再生プロジェクト

 

 

テレビで紹介されたりもしているので知っている人も多いかもしれないけれど、カンボジアの伝統絹織物を再生させようとその身をささげてきた日本人が綴ったエッセイ。ポルポト政権下の虐殺で半ば絶えてしまった伝統を再生すべくカンボジアからベトナム南部(クメール系の民族が多く暮らすので)まで足を運び調査を進め、伝統を再生させるには自然環境から作り上げる必要があることに気づき、村を作ってしまったという。

 

数十年の話がギュッと一冊に凝縮されていた。だからこその読み応えだったのだと思うけど、やはり数十年の苦労や一歩ずつの前進を考えると、300ページ弱では物足りない

のかもしれない。

f:id:soyliliani:20160306152533j:plain

実は私、過去にカンボジアに行った際にこの森へ足を運んだことがあるのだ。だからより一層一つ一つの言葉をかみしめて読みたくて、あえて時間をかけた。読み進めていると不思議とこの方の話していたことが脳裏によみがえる。日曜日だったからいつもより静かな村だったとけれど、村の工房や、黄色の生糸、ライムを入れて発酵させた天然の染材、涼やかな風が吹きすぎる高床のお宅、村の人たち、村の人がふるまってくれた辛いパッタイのようなサラダ。よみがえってくる村の記憶を重ねて言葉を追う。

f:id:soyliliani:20160306152636j:plain

この取り組みはIKTT(クメール伝統織物研究所)といって、シェムリアップからトゥクトゥクで1時間くらいの村にある。それからシェムリアップ市内のオールドマーケットの近くにも工房兼ショップがある。村にお邪魔したのが日曜だったので、あいにく女性たちが糸を引いたり、織物をしたりするところが見られなかったので、数日後に街中の工房へも行ってみた。

f:id:soyliliani:20160306152719j:plain

そこでは若い女性から僧籍にも入った老年の女性までが手を動かすのを見ることができた。そして、自分のために奮発して一枚黒い絹のストールを買ったのだ。ワンランク上の自分を目指して。サテンのような光沢はなく、とても自然な力強い、どこか武骨な手触りの一枚が、自分らしくてそれを選ぶことにした。

 

このエッセイは、国際協力だとか、コミュニティ開発の道に進む人にとっても多くを学べる本だと思う。

 

また、あの村へ行きたくなってしまった。