安南のへそ

発展著しいベトナム中部の町、ダナン暮らしを経てすっかりベトナムマニアになってしまいました。ディープに書き綴ってまいります。

道路名から学ぶベトナムの歴史は地図を片手に

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今さらながらという感じもしなくはないのですが、ベトナムについて色々な文献をあたっているところです。

 

こういう勉強はベトナムへ赴く前に予習という形で行うべきなんでしょうが、予習したってすべてが頭に入るわけではなく、むしろ予習は生活に必須となる情報や、習慣、タブーなどなどの実用的なことを押さえればいいんじゃない?と個人的に思ったりする。

 

経験的に歴史とか民族など入り組んだ話はベトナムのことがうっすらとわかってきたときの方が、すんなり入っていく気がします。

 

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ベトナムの街を歩くと、道の名前がベトナム史縁の人名、地名になっているので、道の名前を覚えてから歴史書を紐解くのが個人的におススメだったりします。小難しい本を読んでも「グエン・ヴァン・リンってあの道じゃん!へ~実際にはこういうことをやった人なんだ~」と記憶のアンカーとなって予習するよりはるかに学習効果が上がるものです。

 

 今回読んだのはベトナムについて知るなら必読書として紹介される『物語 ヴェトナムの歴史』です。夢中になって一気に読んだ!もちろんこの1冊を読んだくらいでベトナムを理解したなんて1ミリも思ってませんが、私のベトナム理解が若干深まったのは事実。

 

物語 ヴェトナムの歴史―一億人国家のダイナミズム (中公新書)

物語 ヴェトナムの歴史―一億人国家のダイナミズム (中公新書)

 

 特に私は少数民族に強い関心を寄せているので、ベトナム主要民族のキン族と周辺民族との関係性の下りは非常に興味深かったです。少数派で山地や沿岸地域にひっそりと暮らしているイメージがある彼らですが、ベトナムの歴史の中で重要な役割を担っているのです。

 

ヴェトナムの歴史は誰が平野部を制圧するかの物語でもあった。この視点から見ると、ヴェトナムの歴史を語るとき、キン族の比重が大きいと同時に、キン族と関係した多数の民族の物語でもある。

 

ヴェトナムの歴史軸を「対中国とのA軸」と「対インドシナ民族とのB軸」という2つで考察するところがわかりやすくてよかったです。

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特に2世紀から出現したチャム族による「チャンパ王国」は、私が住んでいたダナンを含む中南部ベトナムを長きにわたり制圧していて、観光客に大人気のホイアンでの貿易も彼らがになっていたんだとか。さらにダナンから2時間弱のミーソン遺跡もチャンパ王国によるヒンドゥー教の聖域だし、で自分が足を運んだ場所が歴史の線でつながっていくのが面白い。

 

ベトナム人の間では中部の人は北部と相いれない、という話をしますが、まあ歴史的に民族国家が異なっていたんだからしゃーないわなー、と納得。今は中部にもキン族が多く住んではいますけれどね。

 

ちなみに次のベトナム里帰りでは、ニャチャンやファンランといった中南部に残るチャム遺跡を巡り、チャム族に触れる旅を考えているところ。

 

この本では日本の敗戦後のホーチミンによるベトナム独立宣言のところで終わっていて、のちのベトナム戦争ドイモイ政策については数行のみの記述なんだが、むしろそのあたりの文献は無数に出ているので、それ以前の歴史を知る上では必須の本だと思います。

 

ベトナム史を知る上で大事なのが以下の2つのキーワード

 

 

★地域性★

北部

対中国との関係性という歴史を語る上で重要、中国南部から南下してきたキン族の中国的特色が伝統形式となり、現在でも伝えられている

良くも悪くも伝統にこだわるため、官僚制に固執するところがある

 

中部

乾季には灼熱に、雨季には洪水に悩まされ自然環境的な厳しさから自然災害や飢饉に幾度も悩まされてきた歴史を持つ。そこから克己心にあふれる人を生み出し、政治家、革命家、知識人を輩出したことで知られる(ホーチミンも中北部出身)。

 

南部

熱帯モンスーン気候による恵み豊かな自然環境の中、陽気で活発なエネルギーにあふれ、商業の活性化を生み出した。いわゆる「南国気質」が一番表れている地域。

 

そんな特色をつけた上で著者は全体の共通点として「抵抗心」をあげている。官僚による悪政や他国による支配、戦争などの歴史の中で、「自分の身は自分で守る」「長いものに巻かれない」気質がはぐくまれたのだとか。

 

ムラ社会

下手な説明より引用したほうが早いので、

 

ヴェトナムは社会主義の国だと言うが、社会の基盤は「むら社会」である。「むら社会」は民主的な運営を行ってきたので、今もなお、機能している。(・・・)社会主義の発展もこの「むら社会」の上に成り立っている。

 

 

遅まきながらベトナムを知る上での基礎を身に着けたっていう感じがいたします。これからもどんどんベトナム研究を進めていくつもりです。